第102章 ŹOOĻ!ŹOOĻ!ŹOOĻ!
『もしかして、明日のライブに影響が出ないかŹOOĻの心配してくださったのですか?』
「今すぐに黙らないと、お前の舌を抜いてやるぞ」
歌えなくなるどころか、喋れなくなってしまうのは勘弁だ。私は言われた通り大人しく口を噤む。
「くだらない物をわざわざ見せてくれてどうもありがとう!じゃあねー」
現れた方向とは逆の方へと、一歩を踏み出した了。私は変わらず低い位置から、彼のスーツの袖口を引いた。
途端に了は顔を顰(しか)め、どういうつもり?と吐き捨てた。私はただ唇に人差し指を当て、レッスン室の中を指差す。どうやら、彼らはようやく休憩を挟むらしい。
「は…っ、はぁ…!やっぱ、元パフォーマーのトラとミナについて行くのは、ギリギリだな…!」
「そうですか?ですが、それは私は御堂さんにも同じことが言えるのでは?元ボーカルの狗丸さんと亥清さんに合わせるのは、簡単ではないですから」
「俺とハルは今もボーカルだ!!」
「っていうかさ、お互いを褒め合うのとかちょっと、なんか…変な感じ。オレ達じゃないみたいで」
「はは!いいじゃねえか!俺達は変わったんだ!もっとお互いの良いとことか、どんどん言ってこうぜ!」
「すみません、嫌です」
レッスンハイにでもなっていたのか、ノリノリだったトウマは巳波にバッサリと斬り捨てられてしまった。