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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第101章 運命の相手には、いつ会えるか分からない




千の追撃はまだ止まらない。


「ねぇ。君も曲を作るんだろう?これを見てどう感じた?」

「え、えぇ。そうですね…
想い人と破局したという匂わせ投稿をSNS等にアップし、周りを巻き込みつつ あえてその元彼にも見えるかたちで自分が傷付いたことを懸命にアピールしている ねちっこい系女子みたいだな。と、思いました」

『盛り沢山ですね!?』

「あぁすみません…少し素直な気持ちを口に出し過ぎてしまいました」

『もういいよ黙って!!』


私は頭を抱えて、机に突っ伏した。そうだった。巳南もまた、妥協を知らない作曲家なのだ。
ちなみに、千は笑いを堪えているのか、すぐ近くで悶絶している。


「…ふぅ、苦しかった。もう少しで僕の腹筋が板チョコみたいに割れちゃうところだった」

『もしそうなれば、私がバッキバキに砕き割って食べてやりますよ』

「それもいいね」


千は愉快そうに目を細めた。私はそんな彼を恨めしそうに見つめる。


「それで?この曲が出来上がった暁には、誰に歌わせるつもりだったのかな?まさかとは思うけど “ 元彼 ” に?」

『……はぁ。私もそこまで悪趣味じゃありませんよ』


私は千の手から、楽譜を取り上げる。そして、そのままビリビリに引き裂いた。それを見ていた悠が、心配そうな顔をこちらに向ける。


「いいの?」

『いいんです。さっきは生き勇んで新曲だ、なんて言いましたが…実は、これは最初から上げる気はなかったんですよ』

「そうなんだ…。なんか、勿体無い気もするけど」

『すみません。ただ、何というか…自分の気持ちを落ち着ける為に書き起こしていただけと言いますか…』

「ポエムだよね。ポエム。春人ちゃんは可愛いな」

『千。もう本当にそろそろ攻撃の手を緩めてもらえませんか』

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