第101章 運命の相手には、いつ会えるか分からない
【side 八乙女楽】
その日は、3人揃っての仕事だった。トーク番組に呼んでもらい、番宣をして収録は無事に終了。
事務所に一度帰って、今日は早く帰れるな なんて話していたその時だ。龍之介が、突如として告げた。
「春人くんと別れたんだ」
天も、もちろん俺も寝耳に水だった。だって信じられるか?昨日、鬱陶しいぐらいの相思相愛っぷりを見たばかりだってのに。
驚きでまだ声が出せない俺を置き去りに、天が口を開く。
「どっちから?」
「…俺から」
別れた理由は?とか、どうして?とか、天は何も言わなかった。ただ静かに、そう…とだけ呟いた。
「龍。今日ずっと気になってたんだ。少し目が赤いのは、俺の気のせいじゃなかったんだな」
「え!?や、やっぱり分かっちゃった?
うーん…メイクで隠せれば良かったんだけど、白目は化粧出来ないからなあ」
「別れを告げた側のキミが泣いたんだね。本当に、何がどうなって別れたんだか。
まぁボク達も子供じゃないし、いちいち理由なんて根掘り葉掘り訊かないから安心して」
天は、俺を見て言った。こいつの言いたいことは分かってる。俺にも “ 訊くな ” と念を押しているのだろう。
「…これだけ、教えてくれ」
「?」
「お前らが別れた原因に…俺は、関係してるのか」
龍之介の肩に手を置いて、真正面から向き合ってそう問い掛けた。どんな答えが返ってくるのか、分かっているくせに。俺はわざわざ、問い掛けた。
「ううん。楽は、関係ない」
龍之介は、やはりそう言った。
例え本当に俺が絡んでいるとしても、龍之介ならこう答えると分かっていたのだ。