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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第101章 運命の相手には、いつ会えるか分からない




「伝わってるよ。俺は、君から沢山の愛情を貰った」

『過去形にしないで』

「エリ。でも、改めて考えてみて欲しい。俺に向けてくれた愛情は、本当に君が思うような物だったのか。
親や兄弟と一緒にいて得られる、癒しや安堵感。そういう感情と、凄く近いんじゃないか?」

『……』


何も言えない私に、龍之介は微笑み、言葉を続ける。


「俺は、エリといる時はずっとドキドキしてたよ。心臓が煩いくらいに高鳴っていて、落ち着かなくて。触りたいけど、壊してしまうんじゃないかって怖くなったり。でもやっぱり、触れずにはいられないんだ。そんなふうに、感情がぐちゃぐちゃになっちゃうんだ。
恋愛って、きっとそういうものなんじゃないかな」

『龍…っ、私、は』

「最近のエリを見ていて、気付いたんだ。ずっと、俺に気を遣ってくれていたよね。なんだか必死に…俺を、好きでいようとしてるみたいだった」

『好きだから、そんなの当たり前でしょう。
ねぇ、龍は?龍はもう…私のことを好きじゃなくなったの?』


自分で口にした言葉が、頭にツキンと響いた。
愛してると言って欲しい気持ちと、これでもかと突き放して欲しい気持ちが同居している。


「そんなわけ、ないじゃないか。
でもね…君は、優しいから。俺が隣にいたら、もし正解を見つけられたとしても、俺を手離せない。そっちに、いけない」

『私の正解を、龍が勝手に決めないで』

「ごめん」


そんなふうに謝られたら、もう何も言えない。
龍之介は狡い。振られようとしているのは私なのに、まるで自分が振られるみたいな辛い顔をするのだから。

これ以上、彼の言葉を耳にするのは辛い。私は両耳を塞ぐ。


「エリ、駄目だ。ちゃんと聞いて。逃げずに考えて欲しい。
君にはもう、俺以外に存在するはずだ。俺がエリに向けていたような感情を、教えてくれている男が…!」

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