第100章 お前、龍のこと好き過ぎだろ
「あっちに戻る前に、ひとつだけ答えろ。
なんでさっき、俺には愛してるって言わなかった?あんなのは、ただのゲームだろ」
『ただのゲームの話を蒸し返さないでくださいよ…。あれは、その、照れ臭かったんです』
「二階堂には、簡単に言ってた」
『…楽』
『知ってるだろ。俺がそういうズルが嫌いな男だってことぐらい。言えよ。俺にも。愛してるって」
本当に。どうして貴方は、そんなふうに私を見つめるのか。その視線が熱い。つい、問い掛けてしまいそうになる。
貴方はまだ、私を男だと思っていますか。ただのビジネスパートナーという枠から、私は飛び出していませんかと。
『龍が悲しむかもしれないから』
「……」
『たとえただのゲームの中だったとしても、私が楽に愛してると告げたら、彼が悲しむかもしれない。理由なんて、それだけです』
途端に、楽の表情が陰る。でも、ごめんなさい。
「はは、なんだよ。お前、龍のこと好き過ぎだろ。それ言われたら、これ以上ワガママ言えなくなっちまうじゃねぇか」
私が守りたいのは、笑顔を陰らせたくないと願っている、この世でただ1人の男は…
貴方ではないのだ。