第13章 プロデューサーさんまでカッコ良いんですね…
「あーっサイコーだった!風が耳で、バーーってなって、体全部が風になったみたいで、めっちゃ足早くなったみてー!」
『喜んでもらえて良かったですよ』
結局その辺をグルグルして、ファミレスの24時間営業の看板が見えたので停車した。
生まれて初めてバイクに乗ったのかもしれない環は、大いにハシャいでいた。
店員に禁煙席に案内してもらい、2人で席に着く。
『遅刻してしまったお詫びに、何でも注文して下さい。
晩御飯は食べましたか?』
「食ったけど、食う」
メニューをパラリとめくって環は言った。そして結局、せっかく広げたメニューをほとんど見る事は無かった。
「俺ミートスパゲティ!」
『分かりました』
速やかに店員を呼ぶと、ミートスパゲティとシーフードドリアを注文する。
「あ!なぁなぁ、ドリンクバーも頼んでいい?」
『…どうぞ』
「やりぃ!じゃあドリンクバー2つ追加で!」
ドリンクバー如きで喜ぶ環を、ハンディを持ったウェイトレスがくすくすと笑っている。
私と環は、10個とまではいかないが それなりに歳が離れている。ウェイトレスの目には、私達は一体どういう関係に見えているのだろうか…。唐突にそんなどうでも良い疑問が頭に浮かんだ。
『それで四葉さん。一体どこで私と』
「俺メロンソーダ入れてこよー。あんたは?ついでに持ってきてやんよ」
『………私も一緒に行きます』
ドリンクバーコーナーで、意気揚々とメロンソーダを注ぐ環。シュワァと音を立てながら、異様に緑な液体がなみなみと注がれていく。
鼻歌を奏でる彼を横目に、私はトニックウォーターを氷無しで注ぐ。