第13章 プロデューサーさんまでカッコ良いんですね…
「…なぁ、それって美味いの?」
注がれていくトニックウォーターを見ながら、環は言った。
『はい。なかなかこれが置いてあるファミレスは少ないんですが、ここにはあったのでラッキーでした』
私が言い終わるや否や、彼は入れ終わったばかりのソレに手を伸ばす。そして、当たり前のように口を付ける。
「っ、にっが!!なにこれ…ぜってーこっちのが美味いって。俺のと取っ替えてやろうか?」
なんだ、その無駄な優しさは…。
『……遠慮しときます』
私は彼が勝手に口を付けたグラスを取り返すと、席に戻るのだった。
もういい加減に、本題に入らせてもらいたい。
『四葉さん、教えて下さい。私と貴方はどこで』
「お待たせしましたっ、ミートスパゲティのお客様は…」
「はい!俺 俺ー!スパゲティこっち」
…多分、食べ終わるまで本題に入るのは無理そうだ。
彼はスパゲティを。私はドリアを食べ進める。
『あ、あー…四葉さん?とてつもない量のミートソースが洋服に跳ねてますよ』
堪らず私は、ドリアを食べる手を止めてしまう。
「……どうしよ、また そーちゃんに怒られる…」
まるで子供のようにしょげる環。
『…っく、可愛いっ…!』
「なんか言った?」
『別に』
私は再びスプーンを手に取って、食事を再開した。エビとイカをバランス良く残して、ベシャメルとライスをベストな配合で匙に乗せる。
そんな私を、環はまたじーーっと見つめる。
興味があるモノをじーっと見つめるその仕草は、まるで子供だ。彼の癖なのだろうか…ついつい構いたくなってしまうではないか。