第100章 お前、龍のこと好き過ぎだろ
大和は全員から手早く割り箸を回収し終えると、次 行きますよーとゲームを再開しようとした。しかし、私はそれを制止する。
『次を始める前に、二階堂さん。少し、顔貸してもらいましょうか』
「……はい」
この時点で、大和は何を言われるか察している様子だった。
他のメンバーから離れた場所で、私は彼を問いただす。
『大和、イカサマやめてよ!』
「な、何を根拠に」
『根拠?いいよ、聞きたいなら全部言う。
まず、あの割り箸を用意したのは大和。しかもわざわざ寮から持って来たお手製。これが根拠1。
根拠2は、大和が唯一最初に引いた回は、きっちり大和が王様になってた。
次に根拠3。王様だけじゃなくて、どの割り箸にどの番号か振ってあるか分かるようにしてるから、私を狙って3回も当てることが出来』
「ごめんない。やってました」
箸の微妙な割れ具合や、色味で、王様や番号を見分けていたらしい。どれほど良い目を持っていたら、そんな芸当が出来るのだろうか。
「やっぱあんたの目は誤魔化せなかったか。つか、べつに皆んなの前で糾弾しても良かったのに。相変わらずお優しい性格ですこと」
『私に集中放火したのは腹が立ったけど、でも大和が王様になったのは1回だけだっから。もし、何度も王様になってたら遠慮なくあの席で暴露したかも』
やはり大和にも、イカサマを働いて痛む良心があったのだろう。
「温情どーも。でも、理由ってそれだけ?」
『…あー、実はもう一個ある』
「だよなあ」
大和はニヤリと瞳を歪めた。
私達は、2人して天の方を確認する。すると彼は、こちらを見て不適に微笑んだ。
そう。天も私と同じで、大和のイカサマに気付いていたのだ。
「あいつ…俺のイカサマ利用して、あんたのキス顔をまんまとゲットしやかって。ほんと、見た目とは裏腹に太い野郎だよ。
ま、奴が王様になったのはガチの運だけどな」
天が、大和のイカサマに便乗した。
それこそ、私があの場で大和を責められなかったもう1つの理由である。