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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第100章 お前、龍のこと好き過ぎだろ




せっかくなので、カクテルはお任せでお願いした。シェイカーの中で氷がぶつかる音に、カウンターに並ぶ私達は耳を澄ませる。やがて目の前のショートグラスに注がれたのは、キールである。まさに、この場で頂くに相応しいカクテルだと感じた。

天に用意されたのは林檎ジュース。これで、4人全員の飲み物が出揃った。しかし、不思議なことに乾杯の気配がやって来ない。何故かと問うと、龍之介が子供のような無邪気な笑顔で言う。


「乾杯はもう少し待ってくれるかな?まだ他のゲストが出揃ってないからね」

『え?私達の他にも、誰か来るんですか?』

「ふふ。龍ったら、自分でバラしたね」

「だな。サプライズにするって言ってたのに」

「あっ…。そうだった!」


カウンター内の彼が、しまった!と頭に両手をやったその時。入り口の扉が開かれる気配がした。私達は、揃って体ごとそちらの方へ向ける。


「こんばんわー!」


元気な挨拶をしてくれたのは、三月だった。その後ろには3人。大和、壮五、万理が続いた。
意外な人物達の登場に目を丸くしていると、龍之介が嬉しそうに告げる。


「皆んなでわいわい出来た方が、春人くんも楽しいと思って」

「はいどうもー。わいわい要員でーす」

「ほ、本日はこのような場に呼んで頂き、恐悦至極です!わいわい要員としての務めを果たすべく、精一杯わいわいさせてもらいますので、よろしくお願いいたします!」

「壮五くん、流石に緊張し過ぎじゃないかな。ほら、肩の力抜いて。なにも知らない仲じゃないんだし。
改めて、こんばんは。お言葉に甘えて俺までお邪魔しちゃって、ごめんね」


万理はガチガチに緊張する壮五の肩をポンポンとしてから、手土産を楽に渡す。


「これ差し入れの、ワインとチーズです。苦手じゃなかったら良いんだけど」

「ありがとうございます!なんか、気を使わせちゃってすんません。ほら、二階堂達も早くこっち座れよ。乾杯しようぜ」

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