第100章 お前、龍のこと好き過ぎだろ
「あ…エリ。戻ってたのか。
ん?胸、どうかした?もしかして、痛む?」
『え、あぁ…ううん?全然!
ただちょっと、さらしが最近キツくなったかなって。もしかして私、胸が大きくなったのかも?』
「へ…っ!?」
龍之介は目を丸くして、素っ頓狂な声を上げた。私は続けて明るく振る舞う。
『うーん、駄目駄目。そんな反応じゃあ、エロエロビーストの答えとしては不合格でーす』
「い、今のは何て返したら正解!?」
『そうだな…。俺が育ててるんだから、当たり前だろう?とか?』
「なるほど。勉強になります」
際どい話題をMCに振られても大丈夫なように、日々免疫を高めよう!なんて、2人でくすくすと笑う。しかしやはりその笑顔は、龍之介の心からの笑顔ではないように思えてならなかった。
私は、前向きな話題探しに努める。
『今日の夜、楽しみだなぁ。龍達からの、お誘い。一体、どんな楽しいことが待ってるんだろ』
「はは。それは、来てからのお楽しみ!」
『言われた住所に、19時で良かったんだよね?』
「そうだよ。俺達3人は、先にそこで待ってるから。気を付けて来てね」
そう答える彼は、ようやく自然な笑顔を見せてくれた。その様子に私は心底ほっとして、2人でマグカップに口を付ける。
こんな穏やかで愛しい時間が、いつまでもいつまでも、続けば良いのに。幸せそうに笑う想い人を前に、そう願わずにはいられなかった。