第99章 間違ってると思ったことは、間違ってるだろってそう言いたい
「ねぇそれで?!ルールは?」
『そう焦らないでください。私が勝った場合の話だって、させてくれても良いじゃないですか』
「あ、そうだったねー」
『私が勝ったら、ŹOOĻを使い捨てるという考えを改めてもらいます。そして彼らを、本物のアイドルとして育てていくことを誓ってください』
「……いいよ」
そんなふうに間を置いたのは、私の提示した内容に違和感を持ったからだろう。彼が予想したのは、金輪際TRIGGERや他のグループに手を出すな。そんなところであろう。
しかし私の思い通りに事が運べば、全てが丸く収まるはずなのだ。私が勝てば、了はŹOOĻを愛してくれる。そうなればきっと、他のアイドルの妨害など必要なくなり、私への興味も薄れる。……はずだ。
「それで?君が考えたゲームの内容は?」
『1ヶ月後にŹOOĻが行うライブを、観に来てください』
「なるほど。そこで僕が彼らの次にステージへ上がり、客を満足させられたらこっちの勝ち!ってわけか」
『全然違います。
貴方はただ、4人のパフォーマンスを観覧するだけ。そして、感動したら、私の勝ち。もしも何も感じなかったら、貴方の勝ちです』
了がルンルン気分でこの部屋を去ったのは言うまでもない。そして、了が去った後に4人から非難轟々だったのも言うまでもない。どうして、あんな相手有利の勝負を吹っかけたのかと私を責め立てる彼らに、笑顔で答える。
『ふふ…さて。賽は投げられ、これでもう後には引けなくなりました。私達が全員で助かる道は、ただひとつ。分かりますよね?
今までただの お人形さんだった貴方達は、紛う事なき “ 本物 ” になるんです』