第99章 間違ってると思ったことは、間違ってるだろってそう言いたい
よく言ったと、虎於は悠の頭に手を置いた。巳波は目を細め、トウマは目を潤ませていた。
了が口を開くより少し早いタイミングで、私はその言葉を奪うように提案する。
『了さん。私とゲームをしましょう』
「せっかくのお誘いだけど、辞退させてもらうよ。もうUNOも七並べも、気分じゃなくなったからね。あぁでも、僕が君の指を順番に切り落としていくゲームならやってもいい」
『私、指は20本欲しい派なのでそのゲームの参加は拒否します』
「…なぁ。指が20本欲しくない派なんて、存在すると思うか?」
「御堂さん。私達はしばらく、口を閉じていた方が…」
つまらないと呟いて、席を立つ了。どうやら本気で、指切り落としゲーム以外はやらないらしい。だが、乗り気でない人間をその気にさせるのは、私の得意とするところだ。
『御自分で予定調和だと謳ったゲームの結果が、変わるのは怖いですか?』
「そんな飴玉一個より安い挑発に、僕がわざわざ乗ると本気で思ってるなら、君の評価を改める必要があるけど」
『査定の前に、景品だけでも見ていってくださいよ』
「わぁ!景品?なんだろー?君の目ん玉!?」
『惜しい!景品は、私の全部です』
指でも目玉でも好きな物を持っていけと告げる私に、ŹOOĻの面々は ぎょっと視線を集めた。
対する了は、さっきまでの不機嫌なんてなんのその。嬉々として声を弾ませた。
「いいね!やっぱりゲームはこんなふうに愉快じゃなくちゃ!」
おそらく了は、仮に勝者となって私を手に入れたとしても、指も目玉も奪いはしないだろう。彼が本当に欲しいものは、私の声。
私が敗北した場合は、契約の半年を待たずしてツクモからの鮮烈デビューが確約される。つまりは、そういうことだ。