• テキストサイズ

引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第99章 間違ってると思ったことは、間違ってるだろってそう言いたい




“ 3年 ” というワードは、昨夜も出て来ていた。私は顎に手をやって、深く考え込んでから顔を上げた。


『3年…。まぁ、妥当でしょうね』

「驚かない、のか?」

『了の目論見は、予想が付いていましたから。
彼は、ŹOOĻを英雄に仕立てると話していました。何故、そんなことをするのか。TRIGGERを表舞台から引きずり下ろし、代わりにŹOOĻを英雄に担ぎ上げる。そして群衆を惹き込み陶酔させて、夢中にさせてから、何の前触れもなく取り上げる。きっと群衆は、アイドルに対し幻滅するでしょう。それこそが、了の思い描くストーリー。そして3年という期間は、ファンを完全にŹOOĻへ惹き込む為の時間だ。短か過ぎても、心酔の度合いが足りない。長過ぎれば飽きられる。ちょうど良い塩梅なのが、3年という期間。ちょうどその辺りが、最もŹOOĻに対する訴求力が高まっている頃合い…

というのが、私の見立てなのですが。どうでしょう』


大きく瞬きをする4人の表情が、読みが当たっているのだと示していた。言葉を失っていたトウマだったが、やがて声を取り戻し呟く。流石の洞察力だな、と。それに対し私は、伊達に了の側に張り付いていませんよと、微笑を浮かべてそう答えた。


『まぁとりあえず。早い段階で、了には決意表明しておいた方が良いですね』


4人が歌うと決めたこと。そして、使い捨てアイドルなんていう器に収まるつもりは、もうないことを。
その提案に、彼らは揃って力強く頷いた。

そして。顔を上げるが早いか、計ったようなタイミングで扉が開け放たれる。ノックもなしに、この勢いでドアを開ける人間など1人しかいるまい。

そう。今まさに入室を果たしたのは、私達が用のある男であった。

/ 2933ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp