第99章 間違ってると思ったことは、間違ってるだろってそう言いたい
「…謝って、許してくれると思うか?」
虎於は、珍しく不安げな顔をしていた。しかし私は、偽りのない答えを述べる。
『無理じゃないですか?』
4人は一様に、ぐっと息を飲む。
春人って本当に厳しいっていうかキツイよな!と悠がこちらを睨むので、今さら気付いたんですか?と冗談交じりに返事をした。そして、そのまま続ける。
『謝っても、許されない。それはつまり、自分達の罪をきちんと認めて謝罪をしたとしても、楽にはなれないということで…。きっとそれが、貴方達の禊なのでしょうね』
彼らは、自らの罪を永遠に背負って生きていかねばならない。傷付けた人に、もういいよ。と言ってもらえないのは、辛くて苦しい。
しかし、過ちに気付けるのと気付けないのとでは、大きな差がある。4人は、後悔しているのだ。それはきっと、ŹOOĻとTRIGGERの距離を縮めてくれることに繋がると、私は思う。
「私達は、大きな十字架を背負ってしまいましたね」
『まぁ、貴方達が謝罪したいという意思はTRIGGERに伝えておきますから。そして彼らが良しとすれば、そういう場も設けましょう』
この4人を無理にでもTRIGGERのライブに連れて行って良かったと、心から思う。自身の罪に目を向けて欲しいという、こちらの思惑通りに事が運んだ。
犯した過ちから目を背け続ける者は、決して前には進めない。荒療治ではあるが、ŹOOĻはこれで間違いなくスタートラインに立てたのだ。