第99章 間違ってると思ったことは、間違ってるだろってそう言いたい
このグループに、私が必要無くなる日は近いだろう。嬉しくもあり寂しくもある、そんな複雑な心境を胸に、私は静かに立ち上がる。彼らの決起会に水を差さぬよう、その場から立ち去ろうとした時…
悠が、私の名を呼んだ。
「春人。いい加減に出て来れば?」
「やはり、いらっしゃったのですね」
「何やってるんだ。そんな暗がりで…」
『え…いや、邪魔してはいけないかと空気を読んでいたんですが』
「春人!なに水臭いこと言ってんだよ、邪魔なもんか!あんただって、俺達の一員じゃないか!」
『トウマ、貴方いま完全にハイでしょう。その深夜2時みたいなテンション引きずってると、冷静になってから恥ずかしい思いをしますよ』
「べつにしねぇよ!はは!」
いや、絶対に我に返ってから後悔する。私は、屈託のない笑顔を輝かせるトウマを見て確信していた。
すると、悠がおずおずと声を上げた。
「ト、トウマだけに恥ずかしい思いさせるの可哀想だから、オレも言うけど…
春人。ŹOOĻを、オレにとって息のしやすい場所にしてくれて…ありがと」
『え。抱き締めて良いですか』
「だからっ!そういうのいらないって言ってんだろ!馬鹿!」
両手を伸ばし近付くも、悠に全力で逃げられてしまう。すると虎於が逆にこちらへ近付いて来た。
「悠がいらないと言うなら、その抱擁は俺がもらおう。ほら。思い存分、抱き着いていいんだぜ?」
「トラ。やめろ。本気でやめろ。色々と知った今だからこそ、俺は全力でお前を止めるからな」
トウマは さきほどまでの笑顔を完全に消し、今にも噛み付きそうな勢いで虎於を睨み上げた。