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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第99章 間違ってると思ったことは、間違ってるだろってそう言いたい




「悠にそこまで言われちゃ、黙ってるわけにいかないよな。
正直、自分のやりたいことを素直に口にするのは苦手なんだが…俺も、ŹOOĻを終わらせたくないと思い始めてる。だから、その…なんだ。しばらくは付き合ってやっても、いい」

「ふふ。私も、右に同じ…なんて、冗談ですよ。
私達が4人揃って、そして真剣に目指すなら、きっと魔法使いにだってなれますよ。永遠に解けることのない魔法さえも使えてしまうような、そんな魔法使いです」


まさか、虎於と巳波の意思表明まで聞けるとは思ってもみなかった。悠は、年相応のあどけない表情で楽しげに笑って見せる。
間違いなく嬉しいはずのトウマは、何故か険しい顔付きをしていた。そして、ŹOOĻを更なる高みへと誘う提案を持ちかける。


「なぁ。ずっと、考えてたんだけどさ。
俺達…全員で、歌わないか」


当然、戸惑う虎於と巳波。しかし、トウマと悠に力強く後押しされ、やがては首を縦に動かした。きっと、彼らも理解していたのだろう。このグループを成長させる為に、それは必要な決断なのだと。
その英断を他の誰かに提案されることなく、自分達で見出してくれたことに、私の胸は熱くなっていた。

新生ŹOOĻの誕生に、舞い上がるトウマ。ハイテンションのままに、自らの右手を体の前へと突き出した。それは間違いなく、円陣への誘いである。


「ほら!!お前らも早く!俺の手の上に、手を重ねるんだよ!」

「あぁもう!分かったって!」

「まさか、円陣で指揮を上げようってのか?おい。嘘だろう…」

「同感です。私達、こういうことしちゃうキャラでしたっけ…?」


戸惑うメンバーもいるが、とりあえず4人の手が重なった。
しかし。その状態のまま、シーンと場が静まってしまう。すると、そんな空気に耐えかねた虎於が呟いた。


「…それで?この後は、どうするんだ?」

「へ?……さ、さぁ?」

「さぁって何だよ!トウマが始めたんだから、ちゃんと最後まで仕切ってよね!」

「そ、そんなこと言われても!!」

「頼りないリーダーですね…」

「だな。これは、先が思いやられる」


さきほどまでは、雲の中に隠れていた月が姿を現した。真っ暗闇だった水面にも明かりが差す。

その淡い光は、生まれたばかりのŹOOĻを優しく包み込んでいた。

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