第13章 プロデューサーさんまでカッコ良いんですね…
2人を包む、空気感が変わった。
優しげな印象だった壮五は、ステージ上ではキリっと引き締まり。
ふわふわしていた環は、明らかに集中力が増して まるで別人だ。
ほろ苦い歌詞に、切ないメロディ…。
それらを上手く、2人の歌声がまとめ上げている。
環の甘い歌声。壮五の儚い歌声。この2人の声が、見事な調和を見せている。
耳が、幸せな心地に包まれる。
2人の声が重なり ハーモーニーを奏でる度に、ついつい瞳を閉じて 聴覚に全神経を集中してしまう。
歌い終わった環は、私の方へ思い切りVサインをした。
まるで…、どう思った?俺の歌を聴いて!と言っているようだった。
「四葉、あれで天とほぼ同じ歳らしいぜ。あいつも、とんでもねぇ色気だよな」
「2人の声質が、合っているんだろうね」
「あぁ…2人とも、さっきまでとは別人だったね」
3人とも、やはりMEZZO"の実力をしっかりと認めたらしい。しかしそれは決して 過大評価などではない。
IDOLiSH7をメジャーデビューさせる前に、あの2人に先陣を切らせた小鳥遊事務所のやり口が 少し理解出来た気がする。
『本当に怖いのは…上にいるベテランではなく、下から追ってくる後輩。とは、よく言ったものですね。
でも…私は、最強はTRIGGERだと思っていますよ。しっかりと先輩の威厳、あの2人に見せてあげて下さいね』
「…はっ、当然」
「はっきりと、実力の差を思い知らせてあげるよ」
「うん!なんか燃えて来た!」
彼らはその言葉通り、しっかりと先輩としての役目を果たしてみせた。
きっちりと主役の座を掻っ攫ったTRIGGERだった。