第13章 プロデューサーさんまでカッコ良いんですね…
「…で?四葉環とは どういう知り合い?」
私が楽屋へ戻るなり、こちらへ視線を向ける事無く さらりと言う天。
『…彼の、気のせいだったみたいです』
「いや、それはねえだろ。だってあいつ あんなに喜んで」
『気のせいだったって…言ってんですよ』
「お…おう」
私の剣幕に、思わず たじろぐ楽。
「…誤魔化し方が強引だな、春人くんは」
「まぁでも、あの四葉って奴…面白いキャラクターしてたな」
敬語も使えない。飛び切りのマイペース。しかし楽の言う通り、憎めないキャラをしていると思う。先輩に可愛がられるタイプだろう。
「彼の声…独特だよね」
「たしかに。特徴的な声をしてるよな。早く聞いてみたいよ。彼の歌」
数時間後、そろそろステージではMEZZO"の収録が行われる頃だろう。
私達は全員でスタジオへと向かう。
そこには、既に彼らがスタンバイをしていた。こちらに気付いた壮五は、私達に向かってぺこりと頭を下げる。それに私も会釈を返す。
環は、なんとも嬉しそうに手をブンブンと振っていた。それに龍之介が手を振り返している。
「はは、あいつ犬みてぇだな」
楽の言葉を受けてから、改めて2人を見ると。いまにもこちらに駆け出して来てしまいそうな、犬みたいな環。それを必死に止めるためにリードを引っ張る壮五。
そんな想像上の情景が頭に浮かんできて、ちょっとだけ笑いそうになってしまった。
そうこうしている間に、2人の準備が整う。
いよいよ、MEZZO"が 歌い出す。