第99章 間違ってると思ったことは、間違ってるだろってそう言いたい
翌日。仕事を終えた私達は、ゼロアリーナへとやって来ていた。ここが、今日TRIGGERがライブを行う会場である。
リハーサルから見学させてもらう為、姉鷺にステージまで案内をお願いしていた。ŹOOĻにはあまり良くない顔をしていた姉鷺だったが、意外にも彼らが低姿勢だったので今は普段通りの表情である。
しかし、私に対しては何か物申したいようで…
「まったく。昨日の今日で、関係者席を5席も用意しろだなんて!TRIGGERのことを甘く見ないでもらいたいわね。とっくのとっくに満席だったわよ!」
『すみません。でも、なんとか用意して下さったんですね』
「そうよ!なんとかしたのよ!!」
ぷりぷりとお怒りの姉鷺に、虎於が紳士的に歩み寄る。
「急にすまなかったな。だが、そう怒らないでやってくれ。それに、せっかくの綺麗な顔を怒りで歪ませたら勿体無いぜ?」
「あら。なによ人の苦労も知らないで。ただ、悪い気はしないわね」
虎於が上手に姉鷺の機嫌を取ってくれて、私としてはかなり助かった。
後ろを歩くトウマと悠は、虎於最強。とニヤニヤ話していた。
やがて会場に辿り着き、中へと足を踏み入れる合計6人。ステージに目を向けるが、そこは無人だ。リハーサル中と聞いていたのだが、TRIGGERはどこにいるのだろう。私達は不思議に思いながらも、ステージ真ん前の1番良いS席に腰を下ろす。
スモークを焚かれた舞台を見上げながら、私は姉鷺に問い掛ける。
『ゼロアリーナでのライブ、ファンの皆さんは嬉しいでしょうね。3人の調子は如何ですか?』
「ふふん。一体 誰に訊いてるのかしら。絶好調も絶好調よ!」
姉鷺は自信満々に答えた。どうやら私の疑問は、愚問だったらしい。