第99章 間違ってると思ったことは、間違ってるだろってそう言いたい
『どうですか狗丸さん。私のカード、強かったでしょう?』
「まだ、信じたわけじゃない」
『意外と慎重ですね。まぁ、他人の言うことをほいほい鵜呑みにするより全然良いですけど。
…スポーツドリンクは、ポカリンスエット。薬はアダム』
「!!」
それらは、あの日に私が彼の為コンビニで購入したものだ。見事に言い当てられたトウマは、また驚いた顔を見せる。
『まだ信用するに足りないようでしたら、貴方が拾われたバーの名前も、運び込まれたホテルの名前も言い当ててみせましょうか?』
「わ、分かった!信じるって!」
『それで?』
「それで…俺は、あんたとの取り引きに応じる」
『ありがとうございます。では今夜、場を設けますので』
「今夜!?早いな!!」
『早い方が良いでしょう。報酬の前払いは、信用の証ですよ』
「いや、そういうんじゃなくて、こっちにもこう…心の準備って奴がだなぁ!!」
まるで乙女のように顔を赤らめるトウマを、悠と巳波が揶揄っている。そんな様子を眺めていると、虎於が私の肩に手を載せた。
「それで?俺にはどんなカードを切ってくれるんだ?出来ることなら、2人きりで楽しめるような内容のものなら嬉しいんだが」
『虎於は、べつに無理して来てくれなくても良いですよ』
「は?な、なんだと?」
『TRIGGERのライブには、私達4人で行って来ますので。貴方は1人、お留守番でもしておいてください』
「……仕方ないから、俺も…行ってやる」
一匹狼な雰囲気を漂わせるも、意外と仲間意識が強い虎於。というよりも仲間外れを嫌い、寂しがり屋な一面のある可愛らしい男である。