第99章 間違ってると思ったことは、間違ってるだろってそう言いたい
『と、いうわけで。明日、皆んなでTRIGGERのライブに行きましょう』
振付師含め5人は、ぎょっと目を剥いた。中でも、1番最初に異を唱えたのは巳波である。
「ふふ。何が、というわけで。なのかは分かりませんが、私は絶対に行きません」
『ただで付き合えとは言いません。取引などはどうです?』
「そう簡単に私が取引に応じると思われているのは癪ですが、内容だけでも聞いて差し上げましょうか?」
『こちらが貴方に差し出すもの。それはズバリ、私と桜さんとの思い出です』
「!!」
『知りたくありませんか?高校生だった頃の私と、桜さんとのめくるめく青春の1ページ。あぁよもや、あんなことそんなことが…』
「あんなこと…そんなこと…っ」
巳波はあえなく陥落した。次に狙うべきターゲットは…
『悠』
「う…、な、なんだよ!オレは絶対に行かない!なんでわざわざ、九条天のステージなんか…!」
『貴方、最近ずっと四葉さんにゲームで負け通しだと言っていましたね。明日、私に付き合ってくれれば必勝法を伝授しましょう』
「必勝法!?それって…絶対に四葉に勝てるってこと!?」
『お任せあれ。特別に、悠にだけお教えします』
「ほ、ほんとだろうな…!?ま、いいや。仕方ないから乗ってやるよ」
巳波に続き、悠も無事に口説き落としに成功した。次に私が標的として定めたのは、トウマである。おそらくは、ここが1番難攻不落。
現状、TRIGGERへの敵対心が最も強いのがトウマであると私は踏んでいる。そんな彼を頷かせるには、手持ちの中でも最強のカードを切る他ない。