第13章 プロデューサーさんまでカッコ良いんですね…
ついでに、私は自分が気になっている事をぶつけてみる。
『今日は、7人ではないのですね。IDOLiSH7として デビューはしないのですか?』
「「!!」」
何気ない質問が、2人の顔色を変えた。
まずい。と思った瞬間、環の腕が 素早い動きで私の襟元を引っ掴んだ。
「あんたに…っ何がわかんだよ!」
「!!
やめるんだ!環くん!」
尋常ではない剣幕に、内輪揉めをしていたTRIGGERの3人も こちらへ駆け寄ってくる。
楽が、私を掴む環の腕を捻る。
「おい。うちのプロデューサーに何 手上げてんだよ」
楽の三白眼が、環を遠慮なく睨み上げる。そんな彼を、すぐさま私が制する。
『八乙女さん、私が悪いんです』
「………っっ、」
彼の、悲痛な表情を見ていて すぐに気が付いた。
本当は、彼も7人でデビューしたかったのだ。あの7人で歌いたいのだ。
しかし、アイドル自身がいくらそう渇望したって。その希望が叶わない事などザラだ。事務所の意向。仕事の都合。きっと、様々な障害があるのだろう。
どうして私は、そんな分かりきっている事に気が回せなかったのか。
『…四葉さん、逢坂さんも…。すみませんでした。不躾な質問をした、私を許して下さい』
「!」
私が素直に謝罪の弁を口にすると、彼はバツが悪そうに俯いて言う。
「お、俺も…、ワって怒って、ごめんな」
やはり彼は、素直で良い子だ。
これが、環への第一印象…だと、この時の私は思っていた。