第13章 プロデューサーさんまでカッコ良いんですね…
「た、環くんっ、お願いだから社交辞令を間に受けないで、」
「いや、マジでいいって。それより、俺らの自己紹介は必要無いみたいだな」
楽が言うと。壮五が、勿論です!と首を大きく立てに振る。
「俺も、TRIGGERはよく知ってんよ。こっちの大きい方が がっくんで、座ってる方が てんてん」
「が……」
「てん……」
目が大きくなる楽と天を見て、私は笑いを堪えるのに必死だった。なんとも可愛らしい後輩が出来たものである。
「環くんは、アダ名を付けるのが上手いんだな!」
「へへ、褒められた」
誇らしげな環に、天が突っ込みを入れる。
「ちょっと龍!なんでもかんでも許さないでよ。ボクは、てんてんなんてアダ名は絶対に許さないから」
「おい。心が狭いぞ、てんてん」
と、楽。
「そうだよ。てんてん」
龍之介もそれに乗っかる。
「……っく、いい加減にしないと、本気で怒るよ…」
まるで本物の殺意を滲ませる天。
オロオロしながら、目を泳がせる壮五。そして、やがて私に助けを求めるかのように視線がこちらを向く。
「あ、あのっ、」
『大丈夫ですよ。こんな小競り合いは しょっちゅうですから』
「そうですか…すみません、うちの四葉が失礼を働いたばっかりに…」
本当に彼はしっかりしているな。と、いうのが壮五に抱いた素直な第一印象。
「なぁなぁ。あんたは、TRIGGERのマネージャー?」
小首を傾げる環。
『TRIGGERのプロデューサーをやってます。中崎春人と申します。よろしくお願いします』
「こちらこそ!よろしくお願いします。わぁ…TRIGGERは、プロデューサーさんまでカッコ良いんですね…」
感心する壮五を他所に、環は 私の顔をじーーっと見つめ。やがて小さく何かを呟いた。
「…んー…気のせい、か」