第2章 …なぁ。俺達、どこかで会ったか?
『…はぁ』
俺様な楽に、小悪魔な天。
これから彼らと共に、険しい道を歩んで行かなければならない。
まさしく前途多難だ。
廊下を進みながらも、思わず顔は俯いてしまう。
ドン
角を曲がったところで、誰かにぶつかってしまう。
体勢を崩してしまい、後ろに転がってしまいそうになる。が、そのぶつかった相手が私の腕を掴んで支えてくれたので、なんとか倒れずに済む。
私はぶつかった鼻頭をおさえながら、顔を上げる。
『あっ、ごめんなさい…!少し考え事をしてい
!!』
「あぁ いえ!俺の方こそ ぼーっと歩いてたので…。すみません」
キラッキラの笑顔をこちらに向けている男は…
TRIGGERのメンバー。十龍之介だ。
思わずその優しい表情に、心が絆されそうになったのだが…。
さきほどの天の一件がある。もしや彼も、猫を被っているだけなのでは?と疑ってしまう。
『………』じーーーぃ
「…?あ、あの…もしかして具合でも悪いですか?それともどこか痛めて…」
『て、天使は貴方の方でしたかっ!』本物の天使
「……はい?」
「そっか!じゃあ君は今日からTRIGGERのプロデューサーになるんだ?」
私が、今日3度目の挨拶を終えると 龍之介は人懐こい笑顔を向けてくれた。
私の事を八乙女事務所の人間だと理解した彼は、さきほどよりも少し砕けた態度で接してくれる。
『そういう事になります。これからよろしくお願いしますね。十さん』
「よろしく。中崎さん」
やっと、普通の常識人に出会えた気がする。