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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第98章 気付かないふりをするのがマナーでは?




『分かりました』


私が理由も聞かず、一切 渋らずに即答すると、電話口のナギは驚嘆の声を漏らした。


《 …良い、のですか?アナタのことです。わざわざ言わなくとも、お分かりだと思いますが…棗氏にアナタの口からハルキの名前を出せば 》

『えぇ。私が昔、桜さんと懇意にしていたことに気付かれる可能性が高まりますね』


巳波は聡いだけでなく、勘の良い男だ。不用意にこちらから情報を与えれば、それに気付く確率はぐんと高まる。

私とハルキが会っており、共に歌を作ったり、作曲の心得を教えてもらった過去。それを知った巳波は、どう思うだろう。私を妬ましく思うだろうか。それとも、彼には会ったこともないと嘘を吐いたことについて怒るだろうか。

まぁどちらにしても、些末な問題に過ぎない。


《 アナタとハルキの関係を秘匿した方が良いと言ったのはワタシです。それなのに、このようなワガママを…。本当に、申し訳ありません 》

『…アナタは、優しい』

《 What's? 》

『貴方が以前、私に言った言葉ですよ』
【84章 1998ページ】
『その時も思いましたが、その言葉は貴方にこそ相応しい。
きっといま貴方は、相当な窮地に立たされているのでしょう。そんな状態にいてなお、貴方は私を気遣っている。そんな優しい貴方が、私は好きですよ』

《 ……エリ… 》

『そんな大切な友達のワガママを叶えられるなら、多少の犠牲はどうってことないですよ。たとえ…私が棗さんに心の底から憎まれて嫌われたとしても…』

《 OH… かける言葉が見つかりません 》

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