• テキストサイズ

引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第97章 諦める理由にはならねぇだろ?





いらないことを、言わなければよかった。私のその言葉が引き金となり、楽の中で何かが弾ける。まるで、怒りを思い出したかのように一瞬で顔つきを変えたのだ。
瞳孔が縦に縮み、ギリっと歯を食い縛る音がこちらにまで聞こえた。


「すぐに終わらせる、ねぇ。なら俺も協力してやるか」


虎於は下卑た笑みを浮かべ、私の頭をぐっと下へ押し込めた。突如として喉奥に、赤く腫れた硬いものが捩じ込まれる。こういう些か乱暴なプレイも過去にはあったが、このサイズの物では初めてだ。つい堪え切れず、うっ!とくぐもった声を漏らしてしまう。


「もう、見てられるか…!おいこらテメェ、いい加減にし」


私は、大股で近付いてくる楽に、左手を上げ制止した。
虎於はそんな成り行きなど気にすることなく、快楽を追い求める。生理的な涙で目を潤ませる私を、恍惚の表情で見つめた。


「っ …クソ!お前、自分が何されてんのか分かってんのか…っ、なんで…止めるんだ…」

「本当に、分からないのですか?どうして彼が、貴方に大人しくしているようにお願いしたのか」


場違いなほど穏やかな声で告げるのは、巳波だ。楽は悲しそうに、悔しそうに、目元を手で覆って絞り出すように呟く。


「…分かってる。俺達を、守る為だってんだろ」

「あら、意外と大局が見えていらっしゃったんですね。でしたらやはり、静かに見守って差し上げるのが得策では?
どうせ、守られることしか出来ないのだから」


巳波は楽の肩に、優しく手を置く。しかしすぐに身を翻した。


「私は見張りに戻りますね。面倒ですが、一度は引き受けてしまったことですので。
では、ごゆっくり」

/ 2933ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp