第97章 諦める理由にはならねぇだろ?
知られてしまったのならば仕方がない。とっとと彼らを楽屋に押し込めてしまおう。どうせ4人は、共演者や重役に挨拶などしないのだ。一度閉じ込めてしまえばこっちのものである。
との思惑の上、私は足早に廊下を行く。
あともう少しで、用意された楽屋だ。あそこへ飛び込めば難を逃れる!しかし、そうは問屋が卸さない。
私達の前に、TRIGGERの3人が現れてしまったのだ。いや、現れてしまった。などという言い方は、彼らに失礼だろう。私だって、出来ることなら会いたかった。しかし、この状況での鉢合わせは避けたかったのだ。
私の後ろにいるŹOOĻは、3人をじっと見つめている。凄んでいたり、不敵な笑みだったり、反応は色々だが。
そんな視線を気にも留めないで、私に声を掛けてくれたのは天であった。
「久しぶりだね。顔色も良いし、思っていたより元気そう」
『天…。はい、ありがとうございます。本当に久しぶりで』
「おい、九条天!春人はオレ達のマネージャーだ。気安く話しかけて来るな」
「どうして声を掛けることすら許されないのか、理解に苦しむんだけど。それに、独占欲があまりに強い男は嫌われるよ?亥清悠」
「〜〜っ!う、うるさいな!」
悠は、悔しそうに顔を歪ませる。そんな彼に、天は容赦なく言葉を浴びせ続ける。
「でも ちょうど良かった。ひとこと言っておこうと思ってたんだ。
ボク達は、キミらのしたことを許してない。ŹOOĻが、ボク達のファンを傷付けたことだ。
あのジャックライブに、どれくらいキミ達の意思が含まれていたのかは知らないけど…
ごめんなさいをしても、許してあげないよ」
「ご、ごめんなさい!?はぁ!?なんでオレがお前なんかに謝るんだよ!ありえないからな!しかも、ごめんなさいって…!馬鹿にしやがって!!」
あぁ、完全に悠に火が点いてしまった。天も、不用意に彼を煽らないで欲しい。
それに一触即発なのは、この2人だけではない。私は、向かい立つ龍之介とトウマの方に意識を向けた。