第96章 やることなすこと滅茶苦茶じゃん!
その時。聴き馴染んだチャイムの音が学校全体を包んだ。5時限目の、予鈴だ。
寂しげに目を細めながら、春人は告げる。
『そろそろ、本当に行かなくては』
「…べ、弁当、ありがとう。美味しかったよ」
『いえ、お安い御用ですよ。
あぁそうだ。悠、最後に少しだけ仕事の話をいいですか?』
「なに」
学校の、教室で。こういう類の話をされるのは、どうも不思議な心地だった。でも、べつに嫌というわけではない。
『先日、貴方が途中で離席したインタビューがあったでしょう?』
「あぁ」
『あの無能なインタビュアーから、連絡があったんです』
「あのさ。オレも人のこと言えないけど、あんたって口悪いよな」
『これは失礼』
「まぁ、べつにいいけど。で?」
『インタビューを再度行いたいと打診されました。どうされますか?』
春人は、オレの答えを黙って待っている。
もしこの話を受けたら、また退屈な時間を強いられるのだろうか。それとも、前回とは違った結果が待っているのだろうか。
ちろりと春人を見上げ、問い掛ける。
「あんたは、受けた方がいいと思う?」
『そうですね。もう一度くらい、付き合っても良いんじゃないですか?
それでもし、また彼が同じ轍を踏むようなら…今度は本人に、無能の烙印を押してやりましょうよ』
「…!!」
まるで悪戯っ子のように微笑む春人。オレも笑顔で答える。
「ん、分かった。仕方ないから、受けてやるよ。あと一回だけな!」
『ふふ。では、そのように。
私にŹOOĻの仕事を選ぶ権限はないのですが、了さんが引き受けたくなるように、さりげなく動きますね』
春人は嬉しそうに、手帳へ何かを書き込んだ。