第96章 やることなすこと滅茶苦茶じゃん!
環は、食べ終わった菓子の袋を小さく丸める。そして、すぐ後ろのゴミ箱に向かって投げた。それは綺麗な放物線を描いて、見事に吸い込まれていった。
おし!とガッツポーズを決める環に、小さく言う。
「…あいつ、TRIGGERのことめちゃくちゃ好きだろ。だから、あいつにとってŹOOĻは敵のはずなんだ。オレらのマネージャーだって、了さんに言われて嫌々やってるだけ。
なのに、オレのこと知りたいとか、ŹOOĻのこと本気で考えてるとか言うんだぜ?おかしいと思わないか?
適当に、嘘とか…つかれてんのかな」
信じて、裏切られるのは、もう嫌だ。
裏切られて、悲しくなって辛くなるのは、信じるからだ。
だったら、最初から信じない方がいい。
ŹOOĻだって、そう。
あいつはオレに言った。
ŹOOĻがオレにとって、息のし易い場所になればいいと。
もし本当にそうなってしまったら、一体どうする?
好きになって依存して、大切になって。でももしその場所を失ってしまったら?そうなったらオレは、窒息死してしまうじゃないか。
「大丈夫」
「え?」
「俺には、誰が敵で誰が味方とか、よく分かんねぇけど。とにかく、中崎さんが言ったんだろ?
いすみんのこと、知りたいって」
その確認に、オレは首を縦に動かす。すると環は、にししと歯を見せて笑い、続けた。
「だったら、やっぱ大丈夫だ。信じて大丈夫。
だって中崎さん、嘘はつかねぇから」
「ほ、本当か?」
「……仕事してる時は、たまーーに えぐいハッタリかましたり、引くぐらい狡いことしたりするけど」
「!?」
「でも、俺達に…信じた仲間に、そういう嘘はぜってーつかない。だから いすみんも、中崎さんのこと、信じていいんだよ」