• テキストサイズ

引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第96章 やることなすこと滅茶苦茶じゃん!




「は??なんで?えりりん、じゃなかった。中崎さんのことブスとか言ったん?ぜっってーブスじゃないじゃん」

「わ、分かってるよ!そんなこと…だから言わなきゃ良かったって思ってんだろ!?」


一通りの説明の後、環は食べカスで汚れた指をペロっと舐めながら首を傾げる。


「んー、でも中崎さん、そんくらいじゃ怒んねぇと思うけどな」

「いや。あれは、怒ってた…。しばらく無言で、歩くのとかめちゃくちゃ早かったし。とにかく、なんか圧が凄かった」

「ふーん?じゃあさ、さっさとごめんって言えば?」

「それが言えたら、苦労してねぇんだよ馬鹿!」


環のような素直な奴に、きっとオレの気持ちなど分からない。いつも強気に出ている相手に、自分から頭を下げるなんて。照れ臭くて、なんだか負けた気分になって、たったの3文字が口から出てこないのだ。


「いすみん、めんどくせぇのな」

「あ、諦めるなよ!助けようとしたんなら、最後まで頑張れよ!」

「お、おぅ…
じゃあ、なんか中崎さんが喜びそうなことしたら?そしたら、許してくれっかも」


環の提案を受け、一応は本気で考えてみる。オレに出来ることで、奴が喜びそうなこと…
意外にも、容易く思い至った。まだ記憶に新しい、奴が言った言葉。


「そういえば あいつ…オレのこと、知りたいって言ってた」

「……」

「なんか、ちょっと恥ずかしいけど。多分、本気でオレのこと知りたいって言ってたんだと思う」

「はぁ…。なぁ、いすみん。それって、俺に対する自慢?」

「は?な、なんでそうなるんだ?」


環は、眉根を寄せて歯を食いしばり、心の底から羨ましそうだった。

/ 2933ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp