第96章 やることなすこと滅茶苦茶じゃん!
そうなると、悠が天を憎む理由にも説明がいく。自分を見限った九条が、新たな人材を育て始めた。悠にとってみれば、やはり簡単には飲み込めないだろう。
「同じ…?オレと、アンタが同じって?
ふざけるな!勝手に一緒にするなよ」
『亥清さん』
「オレは、今でも九条にムカついてる!アンタみたいに笑って…へらへら笑って、見限られたちゃったなんて言わない!言えねぇんだよ!
アンタは、負け犬だ。あいつに酷いことされて、言われたのに、笑って誤魔化してる。オレは絶対、お前みたいな弱者にはならない」
私も九条という男が苦手だが、悠はそれ以上のようだ。彼が悠の中に残していった棘は、未だ抜けることを知らず。それどころか傷は膿み、悪化の一途を辿っている。
『教えてください。亥清さん。貴方がこれまでに、九条と歩んできた道のりを。受けた仕打ちを』
「嫌だ」
『私は、貴方のことを知りたいと思っているんです』
「うるさいな!もうオレに構うな!
さっきだって、ぶるぶる震えてるくせにオレと九条の間に割って入りやがって!そんなことされても、迷惑でしかないんだよ!」
私は首を左右に振る。もし、また今日のようなシチュエーションになれば、きっと私は同じようにするだろう。
「なんでだよ!お前見てると、なんかイライラする!オレらのことなんか好きじゃないくせに!」
『好きですよ。多分』
「た、多分って!?多分って言ったな!?あーもう!余計に、あんたが何をどうしたいか、理解出来なくなったんだけど!」
『私はŹOOĻを、皆さんにとって息のし易い場所にしたい』
「はぁ!?意味が…分からない!っ、もうやめろよ!必要以上にオレ達に関わろうとするんじゃねぇ このブス!!」
『……ブ』
それは、人生で初めて言われた言葉かもしれない。