第95章 《閑話》とあるトップアイドルの息抜き?
私が笑って礼を言うと、百もまた安堵したようで微笑んだ。
『本当に、ありがとう百。めちゃくちゃ元気出た。これからは、焦らずにあの4人のこと知っていこうと思う。全力って奴を、どうしてそんなに敬遠するのか。4人が、アイドルをどんなふうに捉えているのか。
私、まだまだ何も知らないから。彼らが どんなことにトキめいて、どんなことに怒りを覚えるのか。そういうのちゃんと知らないと、一緒にやっていけるはずないもんね』
「いいねいいね!それでこそ、オレの知ってるエリちゃんだ!」
くるりと華麗なターンを決めて、ぱちんとウィンクを決める百。レストランの廊下なのに、まるでステージの上に招待されたみたい。
ふふ、と笑いを零す私を見て、百は呟く。
「でも、ŹOOĻがちょっと羨ましいにゃあ。そこまでエリちゃんに想ってもらえてるんだもん」
『え?TRIGGERの方がもっと想ってるけど』
「じゃあTRIGGERの方が羨ましい!!」
『あはは。急にどうしたの?Re:valeのことも好きだし、考えてるよ。だからこそ、了のところに行ったわけだし』
何が不満か、百は唇を尖らせる。
「Re:valeを好きって言ってくれるのは、もちろん嬉しいよ?嬉しいけど!
やっぱエリちゃんには “ オレの事が好き ” って、言って欲しいな。なんて…」
『あれ、もしかして百ちゃん…本気で酔ってる?』
「オレがあれくらいの量で酔わないの、エリちゃんも知ってるでしょ?」
百は不敵な笑顔を浮かべ、私を廊下の壁に追いやっていく。いつもの、人懐こい笑顔はどこへやら。彼の瞳は怪しげに光っている。
「それとも…素面で言ったら、ちゃんと相手にしてくれるのかな」