第95章 《閑話》とあるトップアイドルの息抜き?
もう言い逃れることは出来ないと、私は全てを告白した。
百宅で起こった事象に加え、私がツクモへ移った理由。そして当面の間、TRIGGERではなくŹOOĻと行動を共にすることも。
「そっか…。いや、不思議だったんだよ。オレ達が岡崎を離れてから、了さんの妨害がパタッと止んだから。あの人のことだ。絶対、あの手この手で邪魔してくると思ってたからさ。でも、蓋を開けてみれば何も起こらなかった。
エリちゃんの、おかげだったんだね。知らないところで、守ってくれてたんだ。オレ達のこと。
ありがとう。でも」
「僕は、全然 納得いかない」
千は、百の言葉を引き継いだように告げた。こちらを睨むように、厳しい言葉を投げ掛けてくる。
「君は、TRIGGERの傍を離れるべきじゃなかった。もう少し、考えられる子かと思ってたよ。
エリちゃんが、1番大切にしてるもの。何をかなぐり捨てたって、それを守るべきだ。
曲げるなよ…!君の1番大切で、好きなものは、TRIGGERだろう!」
「ユキ…」
百は悲しげな顔で、隣の男を見つめた。
『…私、千のそういうところ好きだよ』
「はぐらかすな。こういうタイミングで、それを言う君は…相変わらず、狡い女だ」
『ごめんって。べつに深い意味はないから』
「なお悪いだろ!」
『ありがとう。本気で怒ってくれて。本音と建前を、使い分けないでくれて ありがとうね。
でも私は、何も諦めてないよ。自分を犠牲にしたつもりもないし、曲げるつもりも、捨てるつもりもない』
私が笑って告げると、隣で黙って聞いている万理も、同じように微笑んだ。