第95章 《閑話》とあるトップアイドルの息抜き?
楽しい会話と共に酒も進み、頼んだ料理はほとんど出揃った。ちなみに、サラダにワカメは入っていない。鮮やかな野菜がふんだんに使われているところを見ると、今日のシェフの気分は上々らしい。
サニーレタスをフォークで刺しながら、千は ふと視線を上げる。
「そういえば、万はどうしてエリちゃんのこと詳しく知ってるんだ?同業者だから、知り合う機会があるのは理解出来るけど。それにしても、なんだか距離が近くない?」
「あれ?千、もしかして妬いてるのか?」
「?? どうして僕が万と彼女の仲に嫉妬しないといけないんだ。馴れ馴れしいなって思っただけ。名前だって、呼び捨てだし」
「そりゃあまぁ、俺達の付き合いは高校」
「あぁーー!そうだ!そうだった!!エリちゃん!!頭の傷はもう大丈夫!?オレ、ずっと気になってたんだった!!」
急に百から話を振られて、慌てて口の中の物を飲み込む。
気のせいだろうか。万理が私達の過去に触れようとしたら、百の様子がおかしくなるような気がする。
『あ、うん。全然平気。綺麗に治りそうだよ?ほら』
私は、前髪を掻き上げながら告げた。すると、隣に座る万理が顔を覗き込んでくる。
「エリ、怪我したって?」
『ま、まぁ』
「どこ」
『ここ』
そこは、偶然にも万理が過去、傷を作った箇所と同じであった。大きさは違えど、類似した場所に傷が出来るなど、私達はどこまで縁があるのだろう。
「お揃い、だな」
『はは。本当だ』
「…ほら。また2人でそういう空気を作る」
「まぁまぁ!仲良きことは美しきかなーってね!今は付き合ってるわけじゃないし、べつに大丈」
「モモ。“ 今は ” って…なに?」
「はっ!モ、モモちゃんは何も口を滑らせてなんかいません!!!」