第95章 《閑話》とあるトップアイドルの息抜き?
独立を余儀なくされた、Re:vale。私が了の取引に応じたので、彼らの邪魔をしないことは確約されている。しかし、2人が岡崎事務所に戻れるかというと、話はそう単純ではない。一度 世間に公表してしまった手前、簡単になかったことには出来ないのだ。
いずれは元サヤに収まるだろうが、それを叶えるまでにはまだまだ時間を要するだろう。
『…ライブ、行くよ』
「ありがとう」
「じゃあチケットプレゼントさせて?あっ、勿論バンさんにも贈らせていただきます!
もう最高の特等席を用意しちゃう!ね、ユキ!」
『いやいや、そんなの悪いって』
「そうだよ。自分達で買わせてもらうね」
2人が、全てを自分達の手で準備する、初めてのライブステージ。きちんとしたルートでチケットを手に入れて、応援したい。どうやら万理も私と同じ気持ちのようだ。
「ふふ。僕とモモが岡崎を出てから、初めてのライブだよ?正規のルートでチケット手に入れられると思うの?」
『う、確かに…すごい倍率だろうね』
「キャパにもよるしな。どこでやるつもりなんだ?」
「あれ?言ってなかった?ゼロアリーナだよ」
千は、とんでもないことをケロっと言い放った。
私と万理は、思わず手にしていたフォークを取りこぼしそうになってしまう。
私達は仕事柄、どの会場が、どのくらいの価格で借りられるのか把握している。ゼロアリーナクラスになると…。どんどん、0の数が頭の中で増えていく。
「あそこの支配人とは顔見知りだからね!Re:vale特別価格で、なんと2500万ポッキリで借りられそうなんだ!」
「これも、モモが今まで培ってきた広い人脈のおかげだよ」
「えっへへ!もっと褒めてくれてもいいですぞ?」
『いや…2500万…って』
「簡単に言ってるけど…その軍資金はどこから」
陽気な2人に、私達は恐々と質問をぶつけた。すると彼らはまた、ケロっと言ってくれる。
「え?あるでしょう。普通」
「2人で割れば、1000ちょっとだしね!」
… Re:vale、恐るべしである。