第12章 会いたい。死ぬほど
『この、顔だけ男』
…いや、今思い返しても ありえないだろ。俺はこいつに何かしたか?
よりにもよって、初めて俺に発した言葉が これって…。
やっぱり信じられない。初対面の女に こんな言葉の暴力もらったは初めての体験だった。
でも…何が1番腹が立つって…。こんな暴言を吐かれているのいうのに。俺の耳は 彼女の声を もっと求めていたのだ。
心地良く 耳の奥に甘く響いて。胸の中が もっとこの声が聞きたいって願ってる。
MAKAがロスに旅立って、結局俺はもう あの変わった女に会う機会もなくなった。
半年過ぎた後も、ずっとあの声が耳にこびりついて 離れていなかった。
また、声が聞きたい。それが例え、また俺を傷付ける言葉だとしても。なんて、これじゃまるで俺がマゾみたいだ。
そんな事を考えて過ごしていた日々。ある日俺の携帯が震えた。画面を見ると、そこにはMAKAの名前。
すぐに通話ボタンを押す。
《あ、おはよう楽!元気してるー?》
「おはようってお前な…こっちはもう夕方だぜ。少しは時差考えろよ」
半年ぶりに聞くMAKAの声は、電話越しでもとても元気だ。こちらから要件を訪ねる前に、向こうから切り出した。
《今日は楽にお願いがあって電話したの。
あのね、今日の夜 私の代わりに行って欲しい場所があって!》
「は…?お前、夜って言ったってな…。もうすぐじゃねぇか」
こいつ…絶対に時差の事考えてかなったな。
《ごめんって!でも、絶対に楽にとっても悪い話じゃないから聞いて》