第12章 会いたい。死ぬほど
不思議でならなかった。どうして初対面の人間に、そこまで敵意むき出しの目を向けられるのか と。
俺は座りの悪さに我慢出来なくなって、MAKAに おい こいつは一体誰なんだ?と言いかけたその時。
MAKAの電話が鳴った。どうやら呼び出しを食らったようだ。
いや…こいつの事だ。またどうせロクでも無い男に惚れていて、ほいほい会いに行くに違いない。
「楽、私ちょっと席外すから、この子とちょっとここで待っててー?」
「『えっ、』」
俺達は2人して、変な声を上げた。この気不味い空気のまま まさか密室に2人きりにするなんて。
なんにしても、この沈黙はキツかった。仕方なく俺は自己紹介まがいな言葉を口にする。
「…俺は、八乙女楽。よろしくな」
俺が名前を告げると、彼女は ハッとした表情になって 口をまごまごさせた。やがて、俺に向かって ぺこりと可愛らしく頭を下げた。
もしかすると、さっき俺の事を睨んでいたような気がしたのは…照れていたのだろうか?今はもう目は釣り上がっていない。
こうして、普通の表情をしていれば 顔の造形が俺好みだな。とか軽く思った。
それに、俺が名乗ったところで 無視をされるのではないか?と思っていたところ 丁寧に頭を下げられた事で。俺は些か調子に乗ってしまっていたのかもしれない。
「お、なんだよお前…随分とシャイな奴だな。
はは。照れてんのか?可愛い奴」
つい、ぺろりと軽口を叩いてしまった。でも別に悪い事を言ったわけではない。むしろ俺は褒めている。
それなのに…コイツは、俺に何を言い放ったと思う?