第94章 ほら、解決だろ
「なぁ。なんでさっきみたいな、無駄に下からの態度取るわけ?」
先に楽屋へと入っていた4人。悠は、訝しげな表情で私に質問を投げた。衣装の確認をしていた手を止め、彼の方へ向き直る。
『無駄なわけがありますか。人気番組を手掛けるプロデューサーに対して、下から行くのは当たり前でしょう』
「だから、なんで」
『いえ、だから…今日だけでなく、いつまたŹOOĻがお世話になるか分からないでしょう』
いくらその方面に対し、知識と興味がないとはいえ、流石に理解が遅い。しかしどうやら、言葉の真意を汲み取れていないのは私の方だったらしい。
「あー もうだから!んなことは分かってるよ!オレが言ってんのは、なんでŹOOĻの為にあんたがへこへこしてんのかってこと!
オレらの仕事が増えたって、有名になったって、お前には何の得もないだろ」
『……あぁ、そういう意味でしたか』
「分かるの遅いよ。馬鹿」
悠は、ふん!とそっぽを向いて、唇を尖らせた。さて、この可愛らしい青年にどう伝えれば、私の気持ちは伝わるだろうか。
頭の中で自分会議をしていると、ふふ と巳波が柔らかく息を吐き出した。
「亥清さんは、本当に純粋ですよね。この方が、私達の為に動いていると本当に思っていらっしゃるんですか?」
「え?」
「そんなわけないじゃないですか。中崎さんは、TRIGGERが大好きなんですよ?そんな彼が、敵である私達の為に尽力するなんて、あり得ません。
ですが そういう姿勢を見せておかないと、了さんの怒りを買ってしまいます。
…純粋な亥清さんでも、もうお分かりですよね?」
「つまりこいつは…オレ達の為に一生懸命働いてるって、ポーズを取ってるってこと?」
ご明察です。と、巳波は悠を褒め称える。