第94章 ほら、解決だろ
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それから、数日が経ったある日。私はŹOOĻと共に、局にいた。
今日の仕事は、とある歌番組の収録。彼らが出演するその番組名は、メロディステーション。TRIGGERも幾度となくお世話になっている、音楽番組の代表格とも言える番組である。
本来、デビューしたばかりの新人が ぽっと出れるような番組ではないのだが。ŹOOĻの快進撃は目覚ましく、彼らを求める声は少なくなかった。
彼らと肩を並べ歩いていると、前からやって来た番組プロデューサーと視線が合う。彼は、私を見た後にŹOOĻをチラリと盗み見て、こそこそ声で語り掛けてくる。
「やぁ春人くん。久し振りだね」
『ご無沙汰しております。本日の収録、ŹOOĻ共々 楽しみにしていました。よろしくお願い致します』
「いや、噂には聞いていたけど…君、本当にツクモに行ったんだなぁ」
しみじみと言う、プロデューサー。
ŹOOĻは、彼に挨拶どころか会釈の1つすらしてくれない。いつ爆発するか分からない不発弾を抱え、街中を歩いているようなヒヤヒヤ感がある。
「俺達は、先に行ってるぜ。今日は、お願いします」
「あ、あぁ、よろしくね…」
トウマが短く告げると、4人は場を離れていく。20点の挨拶ではあるが、爆発しなかっただけ万々歳だ。
『はぁ…すみません。あのような失礼な態度を』
「いや、いいんだ。あぁいうのが、最近の若い子の間で受けてるんだろう?なんて言うの?ほら、ツンツン…みたいな」
『はは…。望まれるキャラクターを使い分けてくれれば、良いんですが。彼らの場合は、地であれを行ってますから。手を焼いているんです』
「そうか。TRIGGERのような優等生の後じゃ、余計に苦労を感じるだろうね。
でも意外だったよ。春人くんが、八乙女さんを離れると聞いた時は耳を疑った」