第94章 ほら、解決だろ
「苦労してるみたいだねー」
『えぇ。地獄ですよ。これから世に羽ばたいて行こうってアイドルが、レッスンを本気でやらないなんて』
「まぁ当然じゃない?あいつらにとって、アイドルなんてほんの腰掛けさ。そんなつまらないものの為に、本気になるような奴らじゃない。
そもそもさぁ、全力でステージで輝きたいんだ!なんて考える人間を、この僕が集めると思う?」
勝ち誇ったように、挑発をかけてくる。どう見ても、了は勝ちを確信しているようだが…
私は、私の直感をまだ信じている。
あの日、TRIGGERのステージを奪った彼ら。その中に、確かに見えた煌めきを。
『さぁ、それはまだ分かりません。彼らの事を全て語れるほど、私はまだ4人のことを知りませんからね』
「……あ、そう。どうせ無駄なのにな。下らない。勝手にすれば?そんなに地獄が好きなら、気の済むまでそこに居れば良いよ。
ちなみに君はどんな地獄が好み?殺し合っても殺し合っても体が復活しちゃう等活地獄?それとも、石の間に体を挟まれて潰される、衆合地獄?あっ、手足の節々から火炎が吹き出して、その苦しみが暇なくやってくる阿鼻地獄かな?」
『無駄に地獄に詳しいの、めちゃくちゃ嫌なんですけど』
頼んでもいないのに、意気揚々と地獄についての知識を披露してくる了。やがてそれが落ち着くと、彼は最後にこう言った。
「じゃあ、そろそろ行こうか!」
『行く?どこへですか』
「忘れちゃったなんて言わないよねぇ?勿論、僕の部屋だよ。
さぁ!これからピーマンのフルコースだ!」
『……』地獄だ