第94章 ほら、解決だろ
「分かった。そんなに言うなら、ここで克服させるのは諦めてあげる。その代わり、今日の夕食は僕が腕を振るった料理を食べてもらおうかな。勿論、ピーマンの良さを伝える為に作るのはピーマン料理だ!」
『殺し合いましょう』
「何を作ろうか。まずは やっぱり定番の、ピーマンの肉詰めかな!でもせっかくだから、肉を詰めずに作ろう」
『それ ただのピーマン!』
「お気に召さないかぁ。じゃあ、そうだな。青椒肉絲(チンジャオロース)なんてどうだい?肉とタケノコが入ってない奴!」
『それ ただのピーマン!!』
腹を抱えて笑う了。対するエリは、命を削っているかのように必死である。
「なぁ、天。あいつら…仲良しってことは、ねぇよな」
「……多分」
複雑な表情で、2人を見つめる楽と天。俺だけは、いつもどんな時もいかなる状況でも、エリの味方でいたい。そんな想いからから、気が付くと了に向かって叫んでいた。
「もう、これ以上はやめてやってくれ!
春人くんは、本当にピーマンが嫌いなんだ。いや、もう嫌いとかいう次元を超えて、食べられないんだよ…
ピザの上に乗ってる、カラカラになった欠片みたいなピーマンを食べてしまっただけで、そこから数時間は険しい顔をしてる!
それにパソコンの検索欄には、ピーマン、アレルギー、って履歴が残ってたんだ。きっと、あまりにも食べたくないからアレルギーのせいとかにして今後は一切、合法的に食べなくて良い方法を探していたんだと思う!
それくらい、春人くんはピーマンが食べられないん」
『龍。龍、ごめんなさい。ちょっと、さすがに恥ずかしい』
エリは真っ赤な顔を俯けて、首を振った。
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