第93章 選んだのは、こういう道だろ
私だって、TRIGGERと一緒に仕事をしていたかった。そもそも私がツクモへ行ったのは、彼らが大好きで、守りたかったからだ。それは間違いなく根底にある。しかし…
私は、ŹOOĻのことが、どうしても嫌いになれない。それどころか、今でも彼らのステージが目に焼き付いているのだ。苛烈で、才能溢れる4人の歌とダンスに、魅入られた。
しかし。それはもしかして、TRIGGERへの裏切りになるのではないか。そんな罪悪感が私の中にはあった。
「エリは、アイドルプロデューサーだから」
『え?』
「俺は、分かってるつもりだよ。君が、才能あるŹOOĻを潰したくないと思ってることも。彼らを育ててみたいって思ってることも。
ちゃんと知ってる。理解もしてる。そして、それを悪いことだとも思わないよ。
エリは、ŹOOĻのこと、好きになっても良いんだ」
どうして、私が欲しい言葉を、欲しい時にくれるのだろう。彼の一語一語が、心に染み込んでいく。甘やかされて、許されて、こんなのは…泣きそうになってしまう。
『ありがとう…龍』
「あ、でもTRIGGERのことも、ずっと好きでいてね」
『当たり前でしょ。浮気はしても、二股はしないよ』
「えぇ!?その言い方は、なんか…ちょっと嫌かな!」
至近距離から見つめ合って、笑い合う。
一拍置いて、龍之介はまた自分の考えを聞かせてくれる。
「俺も、ŹOOĻは嫌いじゃないし、凄いとも思う。だからこそ、了のような男に利用されてしまわないか心配なんだ。
彼らが本気でアイドルをやりたくて、その想いが真剣なら、正々堂々 競って高め合いたいと思ってるよ。
TRIGGERが、IDOLiSH7やRe:valeさんとそうして来たようにね」
『…うん。私も、そんな未来になれば良いなって、心の底から思うよ。だから、その手伝いが出来れば良いなって思ってる。
いつか、あの4人が真っ直ぐ 前だけを見て歌えるように』