第12章 会いたい。死ぬほど
「えっとねぇ、背が高くて〜 顔が超良くて〜 声も良くて〜」
指折りして、好きな人の事を語る彼女の横顔。そんな彼女は 同性の私から見ても可愛いと思えた。やっぱり女の子は、恋をすると可愛くなれるものなのだろうか?
MAKAのノロケを、幸せな気持ちで聞く。
「あとは、ギャンブルが好きで〜 彼女が5人いて〜」
『ちょ、ちょ、ちょっと待って下さい』
ん?いま彼女は何と言った?ギャンブル好きなのは置いておいても、その後の言葉は聞き捨てならないのだが!?
『ご、5人と同時に付き合っているという事ですか?MAKAさん入れて?』
「あ!ごめん、私入れたら6人だった」てへ
可愛らしく舌を出す彼女に、思い切りツッコミを入れる。またどうして、よりにもよってそんな男を選ぶ…!
『いやどっちにしろ とんでもねぇ!!』
「彼、モテるから」
『あ、あの、いくらモテてもっ』
少しだけ目を伏せて、MAKAは言葉を紡ぐ。
「…うん、まぁ、私も 彼が良い事をしてるとは思ってないけど…。でも、運命だと思ったんだよね。出会った瞬間」
……まぁ、他人の私が口を出す事でも無いか。
しかし、やはり大好きな先輩が そんなロクでもない男に捕まってしまったと聞いて。気分が良いわけはない。
だってやっぱり、MAKAには幸せになって欲しい…。
「あ、この後ね 会いに来てくれるんだー♡滅多にライブには来てくれないから嬉しいっ」
『…そうですか、それは 楽しみですね』
彼女のこの幸せそうに笑う顔を見て。私には何が正解か分からなくなってしまった。