第92章 これでも頑張ったんだよ?
『って。笑ってる場合じゃないんですよ』
私がキリっと表情を引き締めると、2人の顔色が曇った。
『次はそちらの番。話してもらいますよ。あの、ニュース速報について』
「エリちゃんが、春人モードに入っちゃった…」
「ま、君の秘密だけを聞かせてもらっておいて、自分達は殻に籠る。なんて、そう都合良くはいかないよね」
百と千は、テーブルの上に用意した麦茶を飲み干して、語り始めた。
今日に至るまでの、事の仔細を。
「八乙女パパの会社も、了さんに目を付けられてたでしょ?それは、うちも例外じゃなかった。そして、ゆくゆくは小鳥遊さんとこも危なくなる。それは、もう目に見えてた。
オレ、実はずっと前から了さんの動向は気にかけてたんだ」
「僕には内緒でね」
「あぁもうユキ!それについては既に謝ったでしょ!?」
わっと、百は千に泣き付いた。
それで?と 私が先を促すと、すぐに続きを話し始める。
「うん。でも、結局はあの人の暴走を止められなかった。このままじゃ、Re:valeもTRIGGERも、IDOLiSH7も潰される!そう思ってた矢先に、昨日の…あれだよ」
昨日のあれ。
それは、Whaleでのジャックライブのことだろう。彼らも、目の当たりにしていたのだ。
了が用意した英雄。ŹOOĻのデビューライブを。
「月雲了は、Re:valeを最も敵視してた。だから僕らは、奴に直談判したんだ。
僕らが相手になってやる。だから、他の事務所には手を出すな。事務所を使って圧力をかけるのも、もうやめろって」
「そしたら、了さんは言ったんだ。分かった。でも条件があるって。
その条件が… Re:valeの解散だった」