第92章 これでも頑張ったんだよ?
《 えぇっ?あれ?あれぇ!?もしかして2人は知らなかったの!?あっははは!傑作だ!芸能界から退いてまで守った相手から、君達は信頼されてなかったんだ!友情ごっこが聞いて呆れるよ!》
『違う!!それは』
《 いや違わない。現に、知っている人間は何人もいるはずだ。君は、秘密を打ち明ける人間と打ち明けない人間に分けた。そこの2人は、その網にかからなかった人間だということでしょ? 》
『…黙れ』
《 あははは!喧嘩だ喧嘩だ!どうしてオレ達には話してくれなかったの!?僕達は君にとって、そんなに頼りない存在だったのか!?
取っ組み合う姿が目に浮かぶよ!残念だなぁ。そんな面白そうな喧嘩をこの目で見られな 》
『このクソ野朗!!』
ガッシャァン!と、激しい音を立てて携帯は無残な姿に変わり果てた。
「俺の携帯ーー!!」
そうしたのは、当然 私だ。それはお釈迦になったが その代わりに、癪に触る男の声は聞こえなくなった。
「…今の話、本当なのか」
「え?エリちゃんが…Lio?」
私は、何も言えなかった。何を言っても、了が言ったことを肯定してしまうような気がして。
「……おい。社長からメールだ。今すぐにここから引き上げろって」
「ッチ!お前だけは、俺の手で殺してやりたかったぜ…!」
歯をへし折られた上に 携帯を壊された男は、私を見下げてそう吐いた。
やがて、部屋には静寂が訪れたのだった。