第91章 相変わらずの強欲っぷりだな
「はーーい!多数決を取りまーす!
IDOLiSH7、TRIGGERに、 Re:vale…。最初に舞台から退いてもらうのは だ〜れだっ?」
まずは、巳波が口を開く。その喋りには、一切の迷いがない。
「Re:valeです。やはり、トップから退場していただくのが良いかと」
次に、悠が言い放つ。その声からは、確かな憎しみが感じられた。
「TRIGGERだ。Whaleのライブをジャックして、虫の息になった九条天を一気に叩く!」
続いては、トウマ。彼は、悠の意見に乗っかった。
「TRIGGERだな。あいつらにも早く、かつての俺達と同じ苦しみを味合わせてやりたい。
事務所の力の差で、負け犬に成り下がるしかない苦しみを…!」
悠もトウマも、熱いな。そう思った。
べつに、馬鹿にしているわけではない。むしろ、その逆である。
たとえ それが憎しみであろうと、何かを強く思う気持ち。執着心が、俺にはなかったから。
いつか、俺にも出来るのだろうか。この2人のように。
何を犠牲にしても手に入れたいと、心の底から渇望するものが。
「なるほどなるほど。さぁ!今のところはTRIGGERが優勢です!このまま番狂わせもないまま、呆気なく決してしまうのか!
ほら。君が票を入れる番だよ?虎於」
「あぁ、そうか。俺はべつに…」
俺はべつに、どっちでもいい。
そんな言葉が、咄嗟に出そうになって喉を閉めた。
ふと、思い出したのだ。とある女の、とある言葉を。