第91章 相変わらずの強欲っぷりだな
—— 1ヶ月前 ——
【side 御堂虎於】
「whale支配人の買収成功、おめでとうございます。了さん」
全くの無感情で、トウマはシャンパングラスを掲げた。了は、そんな言葉に嬉しそうにはしゃいでみせる。
「あは!ありがとうトウマ。でも買収なんて人聞きが悪いなぁ。僕はただ、ちょっとお願いしただけだよ?
僕のお願いを聞いてくれないなら、今後一切、Whaleでツクモのタレントは歌わせない。ってね!」
「それは お願いではなく、脅しと呼ぶものでは?」
「まっ、そうとも言うー。でもべつに どっちでも良いよ。うちの言いなりになってくれさえすればね」
巳波は、瞳を伏せて微笑した。
その時。最年少の悠が痺れを切らし、唇を尖らせて問う。
「あのさぁ。今日は何で、メンバー勢揃いなわけ?また、前みたいにいきなり誰か来たりするのかよ」
「今日は誰も来ないよ。僕達だけの、密やかなパーティだ!」
「ふ、これがパーティ。ね」
これだから庶民は。ケーキにシャンパン。食べ切れないほど大きな七面鳥を用意さえすれば、パーティになると思い込んでいる。
ついつい、嘲笑を零してしまう。
「あれ?気に入らない?じゃあ、そんな君達にも心から楽しんでもらえるように、ちょっと早いけど もう余興に入ろうか!」
余興?俺達4人は、揃って首を捻る。
すると了は、にちゃっと笑ってこう告げた。
「ターゲットを決めるんだ。僕達が まず最初に撃ち落とす、記念すべき第1号のね」