第91章 相変わらずの強欲っぷりだな
ツクモに睨まれ、圧力をかけられ続けている八乙女プロ。
多少 収まりはしたものの、まだ悪評が付き纏うTRIGGER。
いま、この2つが一緒に居ても良い事は何もない。どこかで、この負の連鎖を断ち切るべきだ。
私と八乙女宗助の見解は、やはり一致していた。
『社長。
私に、TRIGGERを預けていただけますか』
胸に手を当てて、テーブルの上に身を乗り出す。そして、真っ直ぐに彼の顔を見つめ懇願した。
『私に、彼らと共に ここを出る許可を』
「勝手にしろ。元々 お前を引き抜いたのは、奴らをトップアイドルにする為だ。そのTRIGGERが うちから消えれば、お前はもう必要なくなるからな。
ここを出た後に、お前達が どこで何をしようが私には関係ない」
優しくない、愛のある言葉であった。
『彼らは、きっと音楽をやめません。なにより、音楽の方が彼らを手放したりはしません。
どんな過酷な状況であっても、歌い続けるでしょう。私は そんな3人の傍にいて、これからもずっと支えたい。
だって私は、TRIGGERのプロデューサーで、彼らのファンだから』
満面の笑みを浮かべる私を見て、彼もまた薄く笑った。
『あと、姉鷺さんにもぜひ付いて来ていただきたいのですが』
「ふ、うちの優秀なスタッフまでも持っていくのかお前は。相変わらずの強欲っぷりだな」