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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第91章 相変わらずの強欲っぷりだな




誰かを応援する。その想いは、伝染する。混じったサクラに背を押され、いつのまにかTRIGGERのファンも場の空気に馴染むように4人を後押しし始める。


「はは。いいねぇ、可愛いじゃねぇか。そうやって従順にしてたら、俺がたっぷり可愛がってやる」


色気たっぷりの虎於の隣では、巳波が怪しく微笑む。


「ふふ。皆さんさきほどまで、まるで天変地異でも見るようなお顔をなさっていましたのに」

「ふん。天変地異か、上等だ。なぁ、ハル」

「あぁ!このステージが終わったら ここにいる全員が、恐れていたはずの天変地異を自分達から望むんだ!」

「こ、これは…一体なにが起こっているのでしょう!?TRIGGERのライブのはずが、謎の4人組がステージに現れました!
彼らも、アイドル、なのでしょうか!?」


私の直感が働いた。これ以上、テレビの放映を続けさせてはいけない。
急ぎ、離れた場所にある映像切り替えスイッチに手を伸ばす。これを押せば、緊急用の静止画像に放送が切り替わる。


「ほんとにいいの〜?」

『……』

「それ押しちゃったらさぁ、完全に放送事故扱いだよ?
“ Whaleこけら落としライブ、TRIGGER大失敗!” 明日の朝刊の見出しはこれで決まりだね!」

『 “ ツクモ所属 謎の新人アイドル、TRIGGERのこけら落としライブをジャック ” この見出しの方が、幾分マシだと?』

「サイコーだね!!その見出し、戴きだ!ねぇねぇ、いくらで売ってくれる?」


私は、スイッチから手を離してTRIGGERの元へ向かう。3人の背中が、心なしか震えているように見えた。
ただ黙って、その背中に手を添えることしか出来ない自分。歯痒くて、情けなくて、血が滲むぐらい唇を噛みしめる。


「何を忘れたっていい!!でも、これだけは絶対に覚えて帰れ!オレ達の名前は…

ŹOOĻ だ!!」


それが、彼ら4人組アイドルグループŹOOĻの、戦慄なデビューライブだった。

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