第91章 相変わらずの強欲っぷりだな
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「さぁ!いよいよ!待ち望まれた、超大型ホール “ Whale ” の、こけら落としコンサートが開演です!!
そして、Whaleの記念すべき出演アーティスト第一号を飾るのは!?
もはや、説明は不要でしょう!国民的人気アイドルの……TRIGGERー!!」
回されるカメラ。今か今かと3人を待ち望むファンの声。星屑を散りばめたかのようなサイリウムの光。
上がる、会場のボルテージ。
真っ直ぐに、光り輝くステージを見据えるTRIGGER。この背中に、私はどんな言葉をかけるべきだろう。
もし頭上から何か落ちて来たら、私がステージへ飛び出してでも止めてみせる?
貴方達なら、ファンも大満足のパフォーマンスが出来ると信じてる?
ツクモの事なんて忘れて、今はライブに集中していきましょう?
いや、違うな。どれもしっくり来ない。そんなまどろっこしいもの、全部抜きだ。ただ一言。私が伝えたい言葉は…
『久々のライブですね。思い切り楽しんで!』
3人は、こちらを振り返り瞬きを数回。そして歯を見せて笑って、拳を突き出した。
相変わらず、不自然に空いた1人分のスペース。私は自然に、そこへ自らの拳を収める。
「おし!行くぞ、お前ら!!」
楽の掛け声に、天と龍之介は、おう!と大きく拳を上げた。